June 17, 2017

1460 letters 3 mins read

オープンソースのDAW Ardourを使ってみる

オープンソースのDAW Ardourを使ってみる

Ardourとは

https://ardour.org/

Linux Audio SystemsのPaul Davisが開発をリードするオープンソースのDAW (Digital Audio Workstation)。
主要開発者はPaulの他にRobin Gareus。その他数十人のコントリビュータがいる。
本記事執筆当時のバーションは5.9

特徴

まとめると、格安で使えるフル機能DAW。

オープンソース

一番の特徴はこれ。
ただし、オープンソース=無料ではない。
制限なく使うには寄付する必要がある。
これは後述。

マルチプラットフォーム

Linux、Mac、Windowsに対応。
もともとLinux用に開発されていて、その後Mac、Windowsに移植されている。

オーディオエディタ、MIDIエディタ

当たり前だけどオーディオとMIDI両方が扱える。
ただしもともとはオーディオ専用のDAWで、
後から開発されたMIDIエディタは使いにくいとの意見もある。

VST, AUプラグインに対応

それぞれのOSでVSTが利用可。
加えてMacではAUも使える。

トラック・プラグイン数制限なし

ソフトウェア側での制限はなし。
マシンの性能に左右される。

日本語対応

バージョン5.6から日本語表示が可能に。

価格

オープンソースだけどバイナリは有料。
制限付きで無料版もある。

無料版

機能制限なしで10分ごとにダイアログが出て音が止まる。
ダイアログを閉じればまた10分使える。

有料版

有料版の支払い方は2種類ある。

月払いの寄付

毎月定額がPayPalアカウントから自動的に引き落とされる。
支払額は$1, $4, $10, $50から選べる。
どの金額でも使える機能は同じ。
支払っている限りは常に最新版をダウンロードできる。
また、Nightly Buildもダウンロードできる。

支払いをやめても使えなくなるわけではなく、
新たにダウンロードできなくなるだけ。

なお、バイナリのコピーを友人などに渡しても良い。

一回払いきり

任意の額を一回のみ支払う。
支払う額は一応、自分の国で2人でレストランで夕食をとった時の額相当が推奨されている。
(ドイツでは40ユーロらしい)

ただし、45ドル未満の場合は、マイナーアップデートのみダウンロード可。
(5.Xから6.0にバージョンアップするとダウンロードできなくなる)
Nightly Buildはダウンロードできない。

45ドル以上で今後のすべてのアップデート及びNightly Buildのダウンロードができる。

何としても無料で使いたい場合

オープンソースなので自分でバイナリをビルドすれば無料。
ただしWindowsとMacでは依存関係の解決が難しいらしい。
Linuxは容易にビルドできる。
ビルドの仕方はそのうち書く。

結局使えるのか

バンド音源のミックス(一部MIDIも使用)に使ってみたが、
必要な機能は十分に備わっている印象。
録音・打ち込みからマスタリングまですべてカバーできた。

ただし標準搭載のプラグインは心もとない。
特にソフト音源はベーシックなシンセぐらいしかないので、
別に用意する必要がある。

また、GUIに多少使いにくさを感じたり、アプリケーションがいきなり落ちたりもするが、
やりたいことは一通りできてる。

誰にオススメできるか

LinuxでDAWしたい

結局これが一番のオススメかもしれない。

とにかく安くフル機能でDAWを使いたい

月1ドルから使い始められる。
ただ、無料で使えるDAWが他にもあったりするので比較した方が良いかも

複数人で使いたい

あんまりいないと思うが、コピーを共有できるので一人が払えば良い。

オープンソースにロマンを感じる

上記Linuxユーザと同様にそれなら使うしかない。